ヘタレ兄、弟を溺愛する

小学生と園児の男兄弟がヘタレなので、後でイキがって反抗しだした時のために、記録を残しておこうと思いました。

まぼろしでしょうか?

 

 

まさか、うちの子が……。

 

 

 

運動会の前々日に体操着洗っておきなさいと言われても持って帰らず(毎年な気がする)、前日もなぜか学校に忘れ、当日体操着登校にもかかわらず私服で行って、小学校最後の運動会を学校に置きっぱなしの汚い体操着で迎えたうちの子が。

 

幼稚園の頃から現在に至るまで、競技の前と終わりに鳴らすピストルの音が怖くていつも耳を塞いでいたうちの子が。

 

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※耳栓必須

 

 

持久走大会では「俺、長距離はすごい速いぜ」と盛って家族に報告し「もし5番以内に入れたらケーキ買ってあげるわ」と義母を多大に期待させ、当日一家総出で見学に行くとビリから3、4番目で、義母を本気で泣かせたうちの子が。

 

 

『縄跳びは武器である』と妙な持論を振りかざし、縄が身体に当たると痛いという理由から、長袖長ズボンフード手袋という変質者みたいな格好でしか跳ぼうとせず、

 

 

 

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※夏です

 

 

スポーツ親善大会で『長縄担当になった、この世の終わりだ』と、世紀末のような嘆きっぷりを聞かされ、それとまったく同じように『運動会なんて地獄だ、予備日まで雨降って中止になってしまえ』と日々呪詛を唱えながら、本日の運動会を迎えたうちの子が……。

 

 

100メートル走1位……だとう?

 

 

 これは、何かの間違えだ。

 

 きっとよく似たメガネのケンちゃんに違いない。ケンちゃんは色黒メガネで昔から小学校のイベントでは毎回間違って写真を撮ってしまう、人様の子に失礼ながら、まぎらわしくてめんどくさいキャラのやつだ。

 

 いや、前はガリガリだったけど、今はすっかり肉付きがよくなり、間違えるはずはない。だいいちうちの子とちがって猫背ではない

 

 だがもうひとり、実は女子にも伏兵がいるのだ。色黒メガネの班長ゴッドである。髪の毛は長いが、一本に後ろに縛り帽子をかぶるともう遠目にはセイタにそっくりだったりする。

 

 でもうちの子と違うところは猫背ではないところだ。

 

 何よりも歩きっぷりは戦国武将のそれで、プラプラ走るはずはない。

 

 パパ曰く「体に芯が無いよね、操り人形みたい」と言わしめたセイタとは、実は間違えようもないのである。(いや、間違えるけど)

 

 

 では、あれは誰なのだ?

 

 

 猫背で手先をプラプラしながら目の前を駆け抜けていった、あの色黒メガネの猫背は誰なのだ?

 

 

セイタだ!

 

 

 念のため「あれってケンちゃんじゃなくてうちの子でした?」と近くにいたケンちゃんママに確認したら「そうですよ、あのメガネはうちのメガネじゃないです」と言っていたし。

 

 あのセイタが、白いテープを切っただと?

 

 馬鹿な?

 

 これはドッキリなのか?

 

 ヘルメットをかぶった野呂圭介がテッテレーという音楽とともに『大成功』というプラカートを持って現れるのか?

 

 いつの時代の人間だと言われそうだが、思わず辺りを見渡した。野呂圭介(まだご健在なのだろうか)が隅から出てくるのを警戒したのである。

 

 ゴール地点で構えていたはずのパパと合流すると「目の錯覚かもしれないけど、あいつ1位だった?」と聞かれたので、やはり幻覚では無かったのだろうか?

 

 いつもうちに遊びに来るガキんちょ軍団が「あ、セイタのママだ! セイタ今日速かったじゃん!」と口々にお祝いを述べてきたし、グラウンドの隅でセイタがトイレから戻ってくるところを、短距離ではダントツ1位であり、いつもリレーの選手に選ばれる八ツ木くん「お前さっき速かったな」と言われてるのを聞いたし(空耳でしょうかA~C~)、もしかして本当に1位だったのでしょうか?

 

 それともまーくんの風邪(本日は咳が止まらずお留守番。未就学児徒競走欠席でした)がまた私にうつって体調をおかしくしていたため、それが目に来て、耳に来て、いやいや久しぶりにチャリに乗ったから実は学校に着く前の登り坂で力尽き、目覚めたら病院で、記憶を失っていたりするのでしょうか?

 

「私、何か幸せな夢を見ていたような?」

 

と、言いながら病院のベッドから天井を見上げ、ふと横を見て、あら、あなた誰? ジャミラかしら? と夫の顔に首をかしげたりしちゃうのでしょうか。

 

 いいえ、夢じゃない。幻でもない、こだまでもない、え~し~。

 

 ほっぺをひっぱたいてみる。頬骨が尖っているため、手のひらの方が痛かった。叩いたほうが叩かれるより痛いんだよ。

 

 うん、夢じゃない。

 

 はは、涙で霞んで、前が見えないや。

 

 あいつ、本当にあの白いテープを切りやがった。

 

 あの憎らしいほど真っ白で高潔なあんちくしょーをよぉ。

 

 やりやがったなぁ。

 

 どうしよう。お赤飯か? ケーキか? あ、赤飯、おれは作れねぇ。あと、夢の国に行ったため金欠だ。ケーキ買えない。

 

 どうしよう、今日の柔道休みにしてやろうか。いや当番だからどっちみち親は行かなきゃならん。悔しいから子供も道連れだ。

 

 どんなに疲れていてもな。

 

 あ、そうだ。

 

 とりあえず、体操着を学校に忘れてきてひとり私服で登校していったことを帳消しにしてやるよセイタ

 

 セイタ、でかした。二度とないことかもしれないから、今日のことをよく覚えておくんだぞ。

 

 白いあんちくしょーの感触をな。

 

 総理大臣賞ものだぞ、セイタ。

 

 5月25日を『セイタの日』にして国民の祝日にしてもらわなきゃ。

 

 セイタ、おめでとう。

 

 うふふふ(´∀`*)

 アハハハハ (*´∀`*)

 

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※プラカート係だったんだ。さすが選ばれしもの。猫背だったけど、今日だけはデスノートのLっぽく賢そうに見えた。

 

 

 

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※鼓笛隊では最下層がなると言われたリコーダー。でもセイタ、リコーダーの魔術師みたいに1番上手だった。

 

 

やればできる子セイタ談:

 

「5、6年は皆何かしら係りをやらされるの。あと5年生からずっとリコーダーしかやらせてもらえなかったんだから、吹けるのは当たり前でしょ」