人嫌い期
赤ちゃんの頃から、ヘタレだったんです。
他の子のおもちゃを取ったりするようなことはなく、むしろ全て奪われる系でした。で、奪われると癇癪起こしてママを叩いてきます。え、なんで俺なん?
パパ「セイタは彼女を寝取られたら、女の方を殴るタイプだな」
赤子にして情けないやつの烙印押された!
幼少期になっても同じ。自分では文句を言えず、抗議もできず、全部ママにどうにかしてもらおうとします。
幼稚園から小学校低学年、人嫌いが加速しました。
お散歩中、近所の公園の前を通っても、学校のお友達がいると、こそこそ隠れます。(っていうか、このお散歩すらも「犬が吠えると怖いから早く帰ろう」と耳を塞ぎながら渋々付いてくる有様です)
マ マ「〇〇くんたちじゃないの? 挨拶したら?」
セイタ「だって、『野球しようぜ』って言われたらどうすんの?」
普通じゃね? それ。いその〜野球しようぜ~ってテンプレじゃね?
そもそもこのセイタくん。幼稚園から集団生活が大嫌いでね。だってお友達がいるでしょ?
「お友達=いじめる」という被害妄想があるようなのです。
そう、被害妄想。だって全てのお友達がセイタをいじめるわけではないじゃん?
そりゃー2、3人は嫌な奴は居るだろうけど、ねぇ? って思ってたんですよね。
セイタは年齢のわりにデカいのですが、デカくて地黒。私の同級生からは「かっこいい、サッカーとかしてそう」と言われていたわけです(当時はまだ猫背メガネじゃなかったんです。かっこよかったんです。今は魔太郎に似てるけどな)
ところが、見た目に反してとんだヘタれでした。お友達とちょっと肩がぶつかったくらいでよろめき、ふっとび、泣き出すしまつ。
幼少期って弱肉強食の獣の世界だったんですね。弱くてトロい子は攻撃されます。いや、これで小さければ、多少気遣ってもらったのかもしれないですが、セイタはクラスで二番目くらいにデカかったのです。
周囲は容赦ありません。
相手の親が見ていても、相手が大きければ安心しますよね。弱いものいじめになってるようには、映らないのです。
なので、セイタが傷ついていても誰も気づきません。
あるとき児童館で、ひとつくらい下の子がセイタを追い掛け回してました。
ワニの口が閉じるおもちゃ。歯を押していくと、当たりがあってパクッとなるやつ分かりますか?
↓そうそうこれこれ
スーパーイタイワニーって名前なのか……素敵。それのバイキンマンバージョン。
へー、ガブガブバイキンマンっていうのか……もう少しひねれやっ!
ちょっとドキドキするおもちゃです。
その男の子は、それが怖くて仕方ないセイタを面白がり、歯を押させようと追い掛け回すわけです。
その子からしたら、面白がってやっているだけでも、セイタからしたらまさに命の危機というか、ビビリにとってどれくらい怖いことか。バイキンマンですら怖いのに、さらにドッキリですものね。黒ひげ危機一髪ももちろん駄目っすよ?
「止めて、ママ止めさせて、助けて、やだ、助けて」とギャーギャー叫びながら逃げ回っています。ちなみに私はまーくん抱っこ中で、追いかけてすぐに止めさせることができません。
相手の親も下の子が居るので「ああ、楽しそうに遊んでるわ」くらいの感覚で微笑ましげに見守っています。
手が離せないので「逃げてるから追いかけて来るんだよ、逃げるな、立ち向かえ!」と怒鳴りました。
セイタはママの怒鳴り声を聞いて、相手の両腕を掴んで抑えました。相手の子はセイタより体が小さいので、へなちょこなセイタでも阻止することができたんです。でも相手もそれから逃れようと、よけいにバイキンマンを押し付けてくる。で、もみ合いになります。
するとその時まで微笑ましく見ていた児童館の職員たちが、青ざめて駆け寄ってきて「どうしたの? 何でそんなことするの? 喧嘩になったの?」とセイタの方を抑えるわけです。
おかしくね?
セイタは体はデカいけど、弱いんです。へなちょこなんです。何で死ぬほど嫌がっていることを止めさせようと体を張ったら、セイタが悪いようになってるの?
こんなことは日常茶飯事で、基本的に小さい子から絡まれるし、おもちゃは自分の持ち物であっても数秒で取られてしまうし、叩かれたり蹴られたり、追い掛け回されて泣かされてきました。だって、デカいくせに叩かれたってやり返さない。悲鳴をあげて逃げるんですよ。失礼だけど、うすのろのウドの大木だったわけです。
小さ子たちは自分が強くなったような気になって調子づきます。そういえば、幼稚園の時、一つ下の子(別の幼稚園)に顔を近づけられて「おい、おまえんちから自転車持ってこいよ」と脅されてるの見て悲しくなりました。セイタがオドオドしながら「え? だれ? え?」と困っていると「いいから持ってこいって言ってんだろ」とさらに小声で脅してくる。
遊んだこともないような子ですよ?
え? なにこれ、カツアゲ?
セイタ、弱虫臭でもするんでしょうか? それとも前世の因果か何かで、変な霊でも背負ってるんでしょうか?
一緒に遊んでるわけでもないのに「おいセイタ、ボール拾ってこい」って年下からパシリにされるという。のび太か?
仲良く水鉄砲をやってるなって思ったら、いつの間にか大勢VSセイタ一人になっているし、狩りかよ、って感じです。上級生だっているのに。
そんでビチャビチャになって泣きながら帰ってくるわけですよ。ていうか、何でお前に渡した水鉄砲3丁、全部取られてるわけ?
いや、最後泣き出したらさすがにやめてくれたけどさ。それとも私がまーくん抱っこしながらブランコから睨んでいたのに気づいたのかな?
ふだん優しい近所のお兄さんまで狩りに加わるって、やっぱりセイタの背中には変な因縁霊が――(以下同文)
言い返したり、拒否する言葉をはっきり口にするってのも大事
ある日幼稚園の先生から呼び出されて、「セイタくん『やめて』って言えないんですか?」と聞かれました。
砂を頭からかけられてるのに、黙って立っているだけだったそうです。相手は面白がってどんどんかける。セイタは涙目で立ち尽くしている。
「逃げるとか抵抗するとかもしないし、そこまで嫌なら大きな声で泣いて知らせてもいいのに、何でやらないんでしょう?」
と先生は困惑しています。気づいたときには、滝行ならぬ砂行みたいになっていたようです。
たぶんですが、拒絶の意思を示すことでよけいいじめられないか、心配だったんじゃないかな。あと、変なところでプライドが高い。
マ マ「泣いて助けを求めていいんだよ?」
セイタ「だってママ、泣いたら弱虫だと思われちゃうよ」
お前な、自分の意思を伝えられないのは、もう立派な弱虫だぞ?
お友達には直接言えなくても、母親である私には、ものすごく文句を言っています。
「みんないじめるから、僕は幼稚園に行きたくない」
年長ではついに登園拒否でした。
何でもセイタよりでっかい子が首を絞めてくるとかで。
ちょっと脱線しますが、セイタはデカくて地黒なのに、虚弱です。
そして高熱体質です。赤ちゃんの頃から熱を出すと40℃越えは当たり前で、ただの風邪なのに四、五日当たり前のように続きました。インフルエンザとか溶連菌とかでなくてもです。引きつけが起きないだけマシって感じでした。
年少の入園直後も変わらず、治ったと思ったらすぐに熱が出て、それが長引きます。血液検査しても原因が分からず「体質だね」とお医者様に言われてましたが、病名が無い長期の熱って怖いんですよね。
げっそり痩せこけて、点滴してもらったり(もちろん大騒ぎ)年少はまともに幼稚園に行ってませんでした。
なんかね、当時(年少)の幼稚園の先生、鬼教官でね。セイタがあまりによく休むものだから心配して電話をしてきてくれるんですが……。セイタ、38度くらいになると、けっこう元気になるんですよね。
そりゃ40度越えですからね。2度下がると楽に感じるのかもしれませんが。電話口にセイタの「キャッキャッ」っていう声が聞こえちゃったんですよ。
「セイタくんずっと幼稚園に来てませんよ? お母さん、もっとちゃんと休ませてください!」
めっちゃ怒られ……。
おい、小娘。半月ベッドに寝かしておくなんて無理だぞ。
セイタな、半月熱が出っぱなしだったんだぞ? 一週目40度、二週目39度~38度、三週目でやっと37度やぞ? こっちは難病なんじゃないかって、日に日に痩せていくセイタを見て半狂乱になってたってのに!
電話切ったあと「こ娘ぇえええ、貴様の血は何色だぁああああ」と叫んだのを今でも覚えています。(のちにまーくんのクラスの副担になる)
スイミングに通わせて、ようやくちょっと体が強くなってきたかな? っていうのが年長さんです。(水が顔にかかっただけで泣き喚くのでなかなか通わせられなかったな……小学二年生までシャンプーハットやぞ)
年中の終わりまで、登園バスに乗せるときに大暴れしていたので、やっとまともに幼稚園に行き始めたというのに、また幼稚園行きたくない病が始まってしまった。
話は戻りますが、
正直、もうあんまり休ませたくなかったんです。ましてや、体調が理由じゃないと、そのままズルズル不登園ってことにもなりかねない。
「登園拒否なんて認めたら、そのまま小学校も登校拒否なのか?」
なんていう恐怖感もあり、セイタが幼稚園に行きたくないと騒いでいても「やられたらやり返せ」と冷たくあしらってしまいました。
ついには幼稚園バスが来ると、腹痛まで訴えてなんとか幼稚園を休もうとしましたが、熱が無い限り休ませようとはしませんでした。
「殴られたら殴り返せ! 蹴られたら蹴り返せ、私が許す!」
……そうしたらね、ついに何も言わなくなったんです。
マ マ「今日は何かされた?」
セイタ「うん、蹴られた」
マ マ「蹴り返した?」
セイタ「うん、そうしたらやってこなくなった」
で、ちょっと安心していたんですが、どうも嘘だったようです。
幼稚園の個人面談で、その旨を話したら、年長さんの時の担任にめちゃくちゃ怒られました。
「やり返せるような子なら最初からいじめられません!」
私が助けてあげないと分かったから、ついには助けを求めることをやめてしまったようなのです。
「いいですか、お母さん。年長さんになると、狙っていじめてくる子が出てきます。この子には、何しても平気だって分かってくるんです」
この先生、同世代くらいの先生でした。のちに、この先生が信者ができるほどのカリスマ先生だったと知るのですが。ちなみに未婚です。
「もっと早く相談してもらいたかったです」
ガミガミ怒られまして、数日後、主にセイタをいじめていた子の親から謝られました。
そうか、幼稚園の先生って親身になって相談に乗ってくれるんだ。何せ、第一子だったし、年少の先生があれだったからね……。
この時は、本当にセイタにはかわいそうなことをしたと、今でも思ってます。
先生って存在は、子供のことを気軽に相談していいんです。当時はモンスターペアレントっていう言葉が横行していたから、ちょっとためらっていたのかも。
あと、基本、子供の喧嘩は(兄弟喧嘩を含め)親が口を出してはいけない、という概念があったのもあります。
そして自分で解決しないと、意味がないと思っていました。
限度があるんですね。見極めが肝心です。セイタ未熟なママでごめんよ……。
で、小学校低学年でもまた同じような目にあうんですが、この時の経験をもとにすぐに担任に相談しました。
すると……。
「セイタくんがもっとしっかりしていたらいじめられません。お母さんももうちょっと強くなってください」
〇塚(先生の名前)ぁあああああ!
人の皮をかぶった悪魔めぇええええ!
幼稚園とぜんぜんちげぇぇええ!
。゚(゚´Д`゚)゚。
……まあ、色んな先生が居るってことで。
本日はここまで。ブログ一記事が長いわ!
お付き合いくださりありがとうございました。
ふぅ、土日は家族サービス&職探し。更新できないな(焦)